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回答者:豊田市長選挙立候補者 鈴木まさひろさん
●インクルーシブ教育に関する施策について
2014年、日本は障害者権利条約を批准しました。第24条「障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること」と明文化されています。どのような障害があろうとも誰もが生まれ育った地域の学校に行きともに学ぶ権利があるのです。
さらに2022年9月、障害者権利条約の総括所見・勧告が出されました。特に、日本の教育に関して「障害児を分離した特別支援教育をやめる」よう強い勧告が出されました。勧告を実施するために現状の仕組みを根本的に変えていかなければなりません。
豊田市では、2027年4月に知的障害のある子どもを対象とした特別支援学校が新設される予定です。子どもの数は減少しているにもかかわらず、愛知県内、県外を見ても、特別支援学校の数は増えてきており、障害者権利条約の勧告とは反する分離教育が、ますます広がっているように感じます。
【質問1】
豊田市において、障害者権利条約が掲げるインクルーシブ教育(多様な子どもたちがいることを前提として、その多様な子どもたちの教育を受ける権利を通常の学級で保障していく)を実現していくために、どのような施策をお考えですか?
【回答1】
インクルーシブ教育は推進していく事が重要と考えています。大阪・豊中市の小学校のように、違いがあっても同じ教室で多様な子どもたちが、学び合い、子どもたちが共に考え、育ち合う学校が理想と考えます。しかし、愛知県内地域校の特別支援学校教諭免許状の保有率が25.9%と全国平均31.1%と低い状態では、適切な教員の配置も難しいため、県立特別支援学校との連携により、子ども達の選択肢を確保し、適切な教育が地域校で行えるようにインクルーシブ教育の環境整備を推進していきます。
また、特別支援学校の役割は、特別支援学校=分離教育ではなく、その子に合った教育をしながら、その子に合った成長を促すために必要な教育機関と位置付け、本人や親が進むべき道を一緒に考えながら、進路の選択ができるようにすることが大切と考えます。
●障害者が地域で生活を継続していけるための施策について
2022年9月に出された障害者権利条約の総括所見・勧告では、障害児者の施設収容廃止(脱施設化)を目指し、地域で他の人と平等に生活するための支援に予算配分することを強く要請されました。特に、第19条に関しては、脱施設化を唱えた上で、「グループホームを含む特定の生活形態に住むことを義務付けられないように」と強く指摘をされました。
国の基本指針では、令和5年度末の施設入所者数を令和元年度末時点から1.6%以上削減することとされていますが、豊田市では、施設入所者数を削減する目標とはせず、現状維持(削減数0人)を目標値としています(第5次豊田市障がい者ライフサポートプラン【中間見直し案】より)。その理由として、2024年1月15日(月)に開催された豊田市障がい者計画推進懇話会において「本市では、施設入所を希望する人が一定数おり、重度障がい者等への対応を始め、一定の必要性があることを踏まえている」という説明を受けました。
様々なサポートを必要とする障害者が地域で生活し続けるためには、生活を支える人材等の環境整備が必要です。環境整備がないままに、施設から地域移行することは障害者本人やご家族に無理を強いてしまうのではないかという危惧があることは承知の上ですが、国の基本指針や国連の勧告とは反する方針であることは理解しかねます。
2016年7月に津久井やまゆり園で起こったようなことを二度と繰り返さないために、障害当事者の思いをどのように確認し受け止め、実現させていくのか考えていかなければならないと感じます。
【質問2】
豊田市では、施設入所者数を削減する目標とはせず、現状維持(削減数0人)を目標値としていることに対して、どのようにお考えですか。
【回答2】
障害福祉サービスの事業所の正規職員の充足率が5割ほどで人手不足が深刻な状況であり、人手不足のままでは施設、地域を問わず、障害の内容によっては命に関わるリスクが高く、特に8050問題に対応していくためには限られた人材を最大限効果的に確保していく必要があります。その一つの施策として豊田市独自の奨学金返済支援制度を創設することにより事業所の人材確保を支援していきます。そのうえで、利用者と家族の希望により、地域か施設かを選択できる自由を尊重し、環境整備を進めていくことが必要であると考えます。
【質問3】
地域移行を進めていくためには、施設に入所している方やそのご家族に様々な障害福祉制度や社会資源を活用して地域生活が可能であるということなど、情報提供を行うことも、市の責務だと考えます。「施設入所を希望する人が一定数おり」とありますが、障害者本人やそのご家族に対しての意向確認はどのような形で行われているのか、その内容を開示することについてどのようにお考えですか。
【回答3】
現在の意向調査は対象者の中から抽出した本人や家族の方の意向に
ついて、
現在のサービス利用の満足度や希望するサービスの内容などを調査
しています。
その結果は、次期計画策定の基礎資料としているほか、
一般には統計資料として提供しています。ただし、
対象者個人の意向などは個人情報保護の観点から、
開示することは適切と考えにくく、
慎重に取り扱うべきと考えます。
【質問4】
全国的にヘルパー不足が深刻な状況ですが、
特に豊田市は大企業があり、
そちらに人手が流れている現状があります。
企業にも劣らないような、
ヘルパーという職業の働き手の労働環境整備(給与保障等)
が必要だと考えます。
人手が流れていることを食い止めるための施策について、
どのようにお考えですか。
【回答4】
豊田市独自の奨学金返済支援制度を創設することにより事業所の人
材確保を支援していきます。また、ヘルパー不足だけでなく、
福祉事業の人材不足は深刻な状態にあります。
既に取得した資格を有効に活用して頂くためにも、
現在働いていないヘルパー等の有資格者を掘り起こすために介護・
医療有資格者人材バンクのようなシステムを考え、
有資格者が働きやすい企業とマッチングが出来る環境を整備するこ
とで、ヘルパー等の人材不足に対応していきます。これは、
子育てが一段落した世代も福祉人材として活躍できる可能性は大い
にあると感じています。また、
この世代に向けた人材育成を推進するため、
福祉の資格取得や資格更新が豊田市で完結出来るように、
関係機関と連携していきます。
最後に、
現在進めている外国人材の利活用も大きな可能性を持っていると感
じています。現在はインドネシア バンドン市との協定により外国人人材を受け入れています。
この拡大については様々な手法を視野に入れて研究していくべきと
考えています。
【質問5】
様々なサポートを必要とする障害者が地域で生活し続けるためには、生活を支える人材等の環境整備が必要です。障害者が地域で生活し続けるための施策について、今あるものだけではなく、拡充したり新規の施策を講じることについて、どのようにお考えですか。
【回答5】
障がい者の方が地域で生活を続けていく為には、
生活を支える人材の確保は「質問4」を推進していきます。また、
本人が自立した生活が送れるように、
10の最重点チャレンジ政策に掲げています。
乳幼児期手話言語支援センターの設置、
日常の相談から仕事に繋げられる豊田市の独自の障害者雇用サポー
トデスクの設置のほか、
障がい者向けおいでんバス定額パスの創設、
障害者スポーツの普及や支援制度や、
地域見守り隊への支援制度の創設も検討していきます。
そうした新規の施策を打ち出すことにより、
豊田市でいつまでも生活し続けられるようにサポートをして参りま
す。
また、
老いた親と障がいのある子が一緒に入居できるホームの建設や、
規制緩和により公共施設を利用しての設置を考える必要もあります
。
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鈴木まさひろさんの回答は以上となります。
ご多忙な中、アンケートにご協力くださりありがとうございました。